会計トピックス

「非営利法人委員会実務指針第41号『地域医療連携推進法人の計算書類に関する監査上の取扱い及び監査報告書の文例』」及び「公開草案に対するコメントの概要及び対応」の公表について(平成29年9月25日 日本公認会計士協会)

2017.09.25 月曜日

 日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、平成29年8月24日に開催された常務理事会の承認を受けて、非営利法人委員会実務指針第41号「地域医療連携推進法人の計算書類に関する監査上の取扱い及び監査報告書の文例」を、平成29年9月25日付けで公表しました。
 平成27年9月の医療法の改正により、地域医療連携推進法人制度が創設され、地域医療連携推進法人は、その規模等に関わらず、認定を受けた会計年度より公認会計士又は監査法人による監査を受けることが義務付けられました。
 本実務指針は、これを受けて、会員が医療法に基づき地域医療連携推進法人の監査を行うに当たっての留意点を取りまとめたものです。
 本実務指針の取りまとめに当たっては、平成29年6月8日から平成29年7月10日までの間、草案を公開し、広く意見が求められました。公開草案に寄せられた主なコメントの概要とその対応も併せて公表されています。

(日本公認会計士協会 ホームページ
 http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/main/20170925izh.html

経営研究調査会研究報告第60号「事業承継支援マニュアル」の公表について(平成29年9月15日 日本公認会計士協会)

2017.09.25 月曜日

 日本公認会計士協会(経営研究調査会)は、平成29年9月15日付けで経営研究調査会研究報告第60号「事業承継支援マニュアル」を公表しました。
 本研究報告は、平成23年10月11日に公表された経営研究調査会研究報告第45号「事業承継支援マニュアル」の見直しであり、事業承継を取り巻く環境が厳しさを増す中、経営者保証ガイドラインの制定、民法や会社法の改正、相続税・贈与税の納税猶予制度の改正等が行われており、これらに対応するため新たな経営研究調査会研究報告として取りまとめたものです。
 本研究報告では、「事業価値源泉」に着目し、その分析と承継を軸として事業承継の進め方を示しています。最近では、事業承継の課題において単に税や資金調達など個別の問題だけではなく、中小企業の経営を強化し事業を継続・発展させることに注目が置かれているためより一層本研究報告の活用が期待されます。今回の見直しでは、更に増えつつある第三者売却に対応すべく対応する章の記述を充実させるとともに、実際に公認会計士が行う支援業務の具体例を追加しています。

(日本公認会計士協会 ホームページ
 http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/main/20170915uhe.html

IAESB公開草案「国際教育基準第7号継続的専門能力開発案(改訂)」へのコメントの提出について(平成29年9月25日 日本公認会計士協会)

2017.09.25 月曜日

 平成29年6月に国際会計教育基準審議会(IAESB)は、IAESB公開草案「国際教育基準第7号継続的専門能力開発案(改訂)」を公表し、広く意見を求めておりました。
 日本公認会計士協会では、本公開草案に対するコメントを取りまとめ、平成29年9月7日付けでIAESBに提出しました。

(日本公認会計士協会 ホームページ
 http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/main/20170925awc.html

「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則に規定する金融庁長官が定める企業会計の基準を指定する件」等の一部改正(案)の公表について(平成29年8月9日 金融庁)

2017.08.28 月曜日

 金融庁では、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則に規定する金融庁長官が定める企業会計の基準を指定する件(平成21年金融庁告示第69号)」等の一部改正(案)が公表されました。

<概要>
1.連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(以下「連結財務諸表規則」という。)第1条第3項及び財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(以下「財務諸表等規則」という。)第1条第3項に規定する企業会計の基準の指定について
 企業会計基準委員会が平成29年6月30日までに公表した会計基準を、連結財務諸表規則第1条第3項及び財務諸表等規則第1条第3項に規定する一般に公正妥当と認められる企業会計の基準とします。主な会計基準は以下のとおりです。

平成28年12月16日公表
 企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準」
平成29年3月29日公表
 企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」

2.連結財務諸表規則第93条に規定する指定国際会計基準の指定について
 国際会計基準審議会が平成29年6月30日までに公表した次の国際会計基準を、連結財務諸表規則第93条に規定する指定国際会計基準とします。

平成29年5月18日公表
 国際財務報告基準(IFRS)第17号「保険契約」

3.連結財務諸表規則第94条に規定する修正国際基準の指定について
 企業会計基準委員会が平成29年6月30日までに公表した次の修正国際基準を、連結財務諸表規則第94条に規定する修正国際基準とします。

平成29年4月11日公表
 修正国際基準の適用

4.適用
 公布の日から適用します。

(金融庁 ホームページ
 http://www.fsa.go.jp/news/29/sonota/20170809.html

国際会計士倫理基準審議会(IESBA)公開草案「職業的懐疑心(基本原則との関連)及び職業的専門家としての判断(事実及び状況の理解の強調)に関する適用指針案」に対する意見について(平成29年7月27日 日本公認会計士協会)

2017.08.28 月曜日

 平成29年5月に国際会計士倫理基準審議会(IESBA)は、公開草案「職業的懐疑心(基本原則との関連)及び職業的専門家としての判断(事実及び状況の理解の強調)に関する適用指針案」を公表し、広く意見を求めました。
 日本公認会計士協会では、本公開草案に対するコメントを取りまとめ、平成29年7月25日付けでIESBAに提出しました。

(日本公認会計士協会 ホームページ
 http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/main/20170727isw.html

IASB公開草案「IFRS第8号「事業セグメント」の改善(IFRS第8号及びIAS第34号の修正案)」に対する意見について(平成29年7月30日 日本公認会計士協会)

2017.08.28 月曜日

 平成29年3月29日に国際会計基準審議会(IASB)から、公開草案「IFRS第8号「事業セグメント」の改善(IFRS第8号及びIAS第34号の修正案)」が公表され、意見が求められました。
 日本公認会計士協会(会計制度委員会)では、当該公開草案に対するコメントを取りまとめ、平成29年7月31日付けで提出しました。

(日本公認会計士協会 ホームページ
 http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/main/20170731ase.html

国際監査・保証基準審議会(IAASB)公開草案「提案された国際監査基準540(改訂)「会計上の見積りと関連する開示の監査」」に対するコメント(平成29年8月3日 日本公認会計士協会)

2017.08.28 月曜日

 平成29年4月20日に、国際会計士連盟(IFAC)の国際監査・保証基準審議会(IAASB)から、公開草案「提案された国際監査基準540(改訂)「会計上の見積りと関連する開示の監査」」(Proposed International Standard on Auditing 540 (Revised) Auditing Accounting Estimates and Related Disclosures)が公表され、会計上の見積りの監査に関連する論点につき、広く意見が求められました(意見募集期限:平成29年8月1日)。
 日本公認会計士協会では、この公開草案に対するコメントをとりまとめ、平成29年7月20日常務理事会の承認を経て、平成29年8月3日付けでIAASBに提出しました。

(日本公認会計士協会 ホームページ
 http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/main/20170803wib.html

開示・監査制度一元化検討プロジェクトチームによる報告「事業報告等と有価証券報告書の一体的開示についての検討」の公表について(平成29年8月25日 日本公認会計士協会)

2017.08.28 月曜日

 日本公認会計士協会 開示・監査制度一元化検討プロジェクトチームでは、平成27年11月に、「開示・監査制度一元化検討プロジェクトチームによる報告「開示・監査制度の在り方に関する提言-会社法と金融商品取引法における開示・監査制度の一元化に向けての考察-」」を公表し、会社法と金融商品取引法の法定開示における財務情報を一元化し、監査も実質的に一元化すべきと提言しています。
 「日本再興戦略2016」(平成28年6月)において、「事業報告等と有価証券報告書を一体的に開示する場合の関係省庁の考え方等の整理と共通化可能な項目に係る具体的な進め方の決定」が施策として掲げられており、これを受けて日本経済再生本部の下、未来投資会議構造改革徹底推進会合「企業関連制度改革・産業構造改革―長期投資と大胆な再編の促進」において、金融庁、法務省及び経済産業省により「事業報告等と有価証券報告書の一体的開示に向けた検討」が行われていることが報告されています。
 この動向を踏まえ、開示・監査制度一元化検討プロジェクトチームでは、事業報告等と有価証券報告書の一体的開示について、関係省庁と意見交換をしつつ独自に検討を行った結果を「開示・監査制度一元化検討プロジェクトチームによる報告「事業報告等と有価証券報告書の一体的開示についての検討」」として取りまとめられ公表されました。
一体的開示については、「未来投資戦略2017」(平成29年6月)において、引き続き更なる検討を行うことが具体的施策として掲げられています。
同協会においても、一体的開示に向けた実務が促され、効果的かつ効率的な開示の実現及び株主総会日程・基準日の合理的な設定に繋がるよう引き続き検討を行い、今後も、会社法と金融商品取引法の開示及び監査の一元化が実現できるよう意見発信が行われる予定です。


(日本公認会計士協会 ホームページ
 http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/main/20170825fjj.html

「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則の一部を改正する内閣府令(案)」等に対するパブリックコメントの結果等について(平成29年6月30日 金融庁)

2017.07.27 木曜日

1.パブリックコメントの結果
 金融庁では、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則の一部を改正する内閣府令(案)」等につきまして、平成29年5月12日(金)から平成29年6月12日(月)にかけて公表し、広く意見の募集を行いました。その結果、特段の意見は寄せられませんでした。

2.公布・施行日
 財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則の一部を改正する内閣府令等は、同日付で公布・施行されています。

(金融庁 ホームページ
 http://www.fsa.go.jp/news/29/sonota/20170630.html

企業会計基準公開草案第61号「収益認識に関する会計基準(案)」等の公表(平成29年7月20日 企業会計基準委員会)

2017.07.27 木曜日

 我が国においては、企業会計原則の損益計算書原則に、「売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る。」とされているものの、収益認識に関する包括的な会計基準はこれまで開発されていませんでした。一方、国際会計基準審議会(IASB)及び米国財務会計基準審議会(FASB)は、共同して収益認識に関する包括的な会計基準の開発を行い、平成26 年5 月に「顧客との契約から生じる収益」(IASBにおいてはIFRS 第15 号、FASB においてはTopic 606)を公表しており、IFRS 第15 号は平成30 年(2018 年)1 月1 日以後開始する事業年度から、Topic 606 は平成29 年(2017 年)12 月15 日より後に開始する事業年度から適用されます。
 これらの状況を踏まえ、同委員会は、平成27 年3 月に開催された第308 回企業会計基準委員会において、我が国における収益認識に関する包括的な会計基準の開発に向けた検討に着手することを決定し、その後平成28 年2 月に、適用上の課題等に対する意見を幅広く把握するため、「収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意見の募集」(以下「意見募集文書」という。)を公表しました。同委員会では、意見募集文書に寄せられた意見を踏まえ、検討を重ねていました。
 今般、平成29 年7 月14 日開催の第364 回企業会計基準委員会において、以下の企業会計基準及びその適用指針の公開草案(以下合わせて「本公開草案」という。)の公表が承認されたため、同日公表されました。

 企業会計基準公開草案第 61 号
「収益認識に関する会計基準(案)」(以下「収益認識会計基準案」という。)
 企業会計基準適用指針公開草案第 61 号
「収益認識に関する会計基準の適用指針(案)」(以下「収益認識適用指針案」という。)

<概要>
●開発にあたっての基本的な方針(収益認識会計基準案第91 項から第94 項)
(基本的な方針)
 意見募集文書に寄せられた意見を踏まえ、当委員会では、収益認識に関する会計基準の開発にあたっての基本的な方針として、IFRS 第15 号と整合性を図る便益の1つである財務諸表間の比較可能性の観点から、IFRS 第15 号の基本的な原則を取り入れることを出発点とし、会計基準を定めることとした。また、これまで我が国で行われてきた実務等に配慮すべき項目がある場合には、比較可能性を損なわせない範囲で代替的な取扱いを追加することとした。

(連結財務諸表に関する方針)
 上記の基本的な方針の下、連結財務諸表に関して、次の開発の方針を定めた。
(1) IFRS 第15 号の定めを基本的にすべて取り入れる。
(2) 適用上の課題に対応するために、代替的な取扱いを追加的に定める。代替的な取扱いを追加的に定める場合、国際的な比較可能性を大きく損なわせないものとすることを基本とする。
(1)の方針を定めた理由は、次のとおりである。
 ①収益認識に関する包括的な会計基準の開発の意義の1 つとして、国際的な比較可能性の確保が重要なものと考えられること
 ②IFRS 第15 号は、5つのステップに基づき、履行義務の識別、取引価格の配分、支配の移転による収益認識等を定めており、部分的に採用することが困難であると考えられること

(個別財務諸表に関する方針)
 連結財務諸表に関する方針を上記のとおり定めたうえで個別財務諸表の取扱いについて審議がなされた。審議の過程では、次のとおり、さまざまな意見が聞かれた。
(1) 経営管理の観点からは、連結財務諸表と個別財務諸表の取扱いは同一の内容とすることが好ましい。
(2) 国際財務報告基準(IFRS)又は米国会計基準により連結財務諸表を作成している企業にとっては、個別財務諸表も、IFRS 第15 号又はTopic 606 を基礎とした内容とすることが好ましい。
(3) 個別財務諸表については、中小規模の上場企業や連結子会社を含むさまざまな企業に影響を及ぼすため、可能な限り簡素な定めとして、会計基準の導入時及び適用時のコストを軽減すべきである。
(4) 個別財務諸表における金額は、関連諸法規等に用いられ、特に法人税法上の課税所得計算の基礎となるため、法人税との関係に配慮すべきである。この点、次を理由に、基本的には、連結財務諸表と個別財務諸表において同一の会計処理を定めることとした。
 ①当委員会において、これまでに開発してきた会計基準では、基本的に連結財務諸表と個別財務諸表において同一の会計処理を定めてきたこと
 ②連結財務諸表と個別財務諸表で同一の内容としない場合、企業が連結財務諸表を作成する際の連結調整に係るコストが生じる。一方、連結財務諸表と個別財務諸表で同一の内容とする場合、中小規模の上場企業や連結子会社等における負担が懸念されるが、重要性等に関する代替的な取扱いの定めを置くこと等により一定程度実務における対応が可能となること

●範囲(収益認識会計基準案第3 項)
 本公開草案は、次の(1)から(6)を除き、顧客との契約から生じる収益に関する会計処理及び開示に適用されることを提案している。
(1) 企業会計基準第10 号「金融商品に関する会計基準」の範囲に含まれる金融商品に係る取引
(2) 企業会計基準第13 号「リース取引に関する会計基準」の範囲に含まれるリース取引
(3) 保険法に定められた保険契約
(4) 顧客又は潜在的な顧客への販売を容易にするために行われる同業他社との商品又は製品の交換取引
(5) 金融商品の組成又は取得に際して受け取る手数料
(6) 日本公認会計士協会 会計制度委員会報告第15 号「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針」の対象となる不動産の譲渡

 なお、本公開草案では、棚卸資産や固定資産等、コストの資産化等の定めがIFRS の体系とは異なるため、IFRS 第15 号における契約コスト(契約獲得の増分コスト及び契約を履行するためのコスト)の定めを範囲に含めていない(収益認識会計基準案第102 項)。

●会計処理(収益認識会計基準案第13 項から第75 項、収益認識適用指針案第4 項から第102項)
・基本となる原則(収益認識会計基準案第13 項から第15 項)
 本公開草案の基本となる原則は、約束した財又はサービスの顧客への移転を、当該財又はサービスと交換に企業が権利を得ると見込む対価の額で描写するように、収益の認識を行うことである。基本となる原則に従って収益を認識するために、次の5つのステップを適用する。
ステップ1:顧客との契約を識別する。
ステップ2:契約における履行義務を識別する。
ステップ3:取引価格を算定する。
ステップ4:契約における履行義務に取引価格を配分する。
ステップ5:履行義務を充足した時に又は充足するにつれて収益を認識する。

●収益の認識基準(収益認識会計基準案第16 項から第42 項、収益認識適用指針案第4項から第22 項)
(契約の識別(ステップ1))
 会計基準を適用するにあたっては、次の(1)から(5)の要件のすべてを満たす顧客との契約を識別する。
(1) 当事者が、書面、口頭、取引慣行等により契約を承認し、それぞれの義務の履行を約束していること
(2) 移転される財又はサービスに関する各当事者の権利を識別できること
(3) 移転される財又はサービスの支払条件を識別できること
(4) 契約に経済的実質があること
(5) 顧客に移転する財又はサービスと交換に企業が権利を得ることとなる対価を回収する可能性が高いこと。当該対価を回収する可能性の評価にあたっては、対価の支払期限到来時における顧客が支払う意思と能力を考慮する。

(履行義務の識別(ステップ2))
 契約における取引開始日に、顧客との契約において約束した財又はサービスを評価し、次の(1)又は(2)のいずれかを顧客に移転する約束のそれぞれについて履行義務として識別する。
(1) 別個の財又はサービス
(2) 一連の別個の財又はサービス

(履行義務の充足による収益の認識(ステップ5))
 企業は約束した財又はサービス(以下「資産」と記載することもある。)を顧客に移転することによって履行義務を充足した時に又は充足するにつれて、収益を認識する。資産が移転するのは、顧客が当該資産に対する支配を獲得した時、又は獲得するにつれてである。
 次の(1)から(3)の要件のいずれかを満たす場合、資産に対する支配が顧客に一定の期間にわたり移転することにより、一定の期間にわたり履行義務を充足し収益を認識する。
(1) 企業が顧客との契約における義務を履行するにつれて、顧客が便益を享受すること
(2) 企業が顧客との契約における義務を履行することにより、資産が生じる又は資産の価値が増加し、当該資産が生じる又は当該資産の価値が増加するにつれて、顧客が当該資産を支配すること
(3) 次の要件のいずれも満たすこと
 ①企業が顧客との契約における義務を履行することにより、別の用途に転用することができない資産が生じ、あるいはその価値が増加すること
 ②企業が顧客との契約における義務の履行を完了した部分について、対価を収受する強制力のある権利を有していること
 上記の(1)から(3)の要件のいずれも満たさず、履行義務が一定の期間にわたり充足されるものではない場合には、一時点で充足される履行義務として、資産に対する支配を顧客に移転することにより当該履行義務が充足される時に、収益を認識する。

●収益の額の算定(収益認識会計基準案第43 項から第73 項、収益認識適用指針案第23項から第33 項)
(取引価格に基づく収益の額の算定(ステップ3 及び4))
 履行義務を充足した時に又は充足するにつれて、取引価格のうち、当該履行義務に配分した額について収益を認識する。

(取引価格の算定(ステップ3))
 取引価格とは、財又はサービスの顧客への移転と交換に企業が権利を得ると見込む対価の額であり、第三者のために回収する額を含まないものをいう。取引価格を算定する際には、次の(1)から(4)のすべての影響を考慮する。
(1) 変動対価
(2) 契約における重要な金融要素
(3) 現金以外の対価
(4) 顧客に支払われる対価

(履行義務への取引価格の配分(ステップ4))
 それぞれの履行義務(あるいは別個の財又はサービス)に対する取引価格の配分は、独立販売価格の比率に基づき、財又はサービスの顧客への移転と交換に企業が権利を得ると見込む対価の額を描写するように行う。

●特定の状況又は取引における取扱い(収益認識適用指針案第34 項から第88 項)
 本公開草案では、次の(1)から(11)の特定の状況又は取引について適用される指針を定めている。
(1) 財又はサービスに対する保証(ステップ2)
(2) 本人と代理人の区分(ステップ2)
(3) 追加の財又はサービスを取得するオプションの付与(ステップ2)
(4) 顧客により行使されない権利(非行使部分)(ステップ5)
(5) 返金が不要な契約における取引開始日の顧客からの支払(ステップ5)
(6) ライセンスの供与(ステップ2 及び5)
(7) 買戻契約(ステップ5)
(8) 委託販売契約(ステップ5)
(9) 請求済未出荷契約(ステップ5)
(10) 顧客による検収(ステップ5)
(11) 返品権付きの販売(ステップ3)
 上記の項目のうち、(2)、(3)及び(6)の説明を、次に示している。

(本人と代理人の区分(ステップ2))
 顧客への財又はサービスの提供に他の当事者が関与している場合において、顧客との約束が当該財又はサービスを企業が自ら提供する履行義務であると判断され、企業が本人に該当するときには、当該財又はサービスの提供と交換に企業が権利を得ると見込む対価の総額を収益として認識する。
 顧客との約束が当該財又はサービスを当該他の当事者によって提供されるように手配する履行義務であると判断され、企業が代理人に該当するときには、他の当事者により提供されるように手配することと交換に企業が権利を得ると見込む報酬又は手数料の金額を収益として認識する。

(追加の財又はサービスを取得するオプションの付与(ステップ2))
 顧客との契約において、既存の契約に加えて追加の財又はサービスを取得するオプションを顧客に付与する場合には、そのオプションが、当該契約を締結しなければ顧客が受け取れない重要な権利を顧客に提供するときにのみ、当該オプションから履行義務が生じる。この場合には、将来の財又はサービスが移転する時、あるいは当該オプションが消滅する時に収益を認識する。

(ライセンスの供与(ステップ2 及び5))
 ライセンスを供与する約束が、顧客との契約における他の財又はサービスを移転する約束と別個のものであり、当該約束が独立した履行義務である場合には、ライセンスを顧客に供与する際の企業の約束の性質が、顧客に次の(1)又は(2)のいずれを提供するものかを判定する。
(1) ライセンス期間にわたり存在する企業の知的財産にアクセスする権利
(2) ライセンスが供与される時点で存在する企業の知的財産を使用する権利ライセンスを供与する約束については、ライセンスを供与する際の企業の約束の性質が(1)である場合には、一定の期間にわたり充足される履行義務として処理し、企業の約束の性質が(2)である場合には、一時点で充足される履行義務として処理する。

●重要性等に関する代替的な取扱い(収益認識適用指針案第91 項から第102 項)
 本公開草案では、これまで我が国で行われてきた実務等に配慮し、財務諸表間の比較可能性を大きく損なわせない範囲で、IFRS 第15 号における取扱いとは別に、次の個別項目に対する重要性の記載等、代替的な取扱いを定めている。
(1) 契約変更(ステップ 1)
 ・重要性が乏しい場合の取扱い
(2) 履行義務の識別(ステップ 2)
 ・顧客との契約の観点で重要性が乏しい場合の取扱い
 ・出荷及び配送活動に関する会計処理の選択
(3) 一定の期間にわたり充足される履行義務(ステップ 5)
 ・期間がごく短い工事契約及び受注制作のソフトウェア
 ・船舶による運送サービス
(4) 一時点で充足される履行義務(ステップ 5)
 ・出荷基準等の取扱い
(5) 履行義務の充足に係る進捗度(ステップ 5)
 ・契約の初期段階における原価回収基準の取扱い
(6) 履行義務への取引価格の配分(ステップ 4)
 ・重要性が乏しい財又はサービスに対する残余アプローチの使用
(7) 契約の結合、履行義務の識別及び独立販売価格に基づく取引価格の配分(ステップ1、2 及び4)
 ・契約に基づく収益認識の単位及び取引価格の配分
 ・工事契約及び受注制作のソフトウェアの収益認識の単位

  また、次の項目については、代替的な取扱いを定めていない(収益認識適用指針案第158項及び第159項)。
 ・変動対価における収益金額の修正(ステップ3)
 ・契約金額からの金利相当分の区分処理(ステップ3)

  なお、本公開草案によると、主に、次の現行の日本基準又は日本基準における実務の取扱いが認められないこととなる。
 ・顧客に付与するポイントについての引当金処理(ステップ2)
 ・返品調整引当金の計上(ステップ3)
 ・割賦販売における割賦基準に基づく収益計上(ステップ5)

●開示(収益認識会計基準案第76 項、第77 項及び第85 項、収益認識適用指針案第103 項及び第104 項)
・表示(収益認識会計基準案第76 項及び第85 項)
 本公開草案では、企業が履行している場合又は企業が履行する前に顧客が対価を支払う場合には、企業の履行と顧客の支払との関係に基づき、契約資産、契約負債又は債権を適切な科目をもって貸借対照表に表示することとしているが、経過措置として、契約資産と債権を区分表示しないことができることを提案している。

・注記事項(収益認識会計基準案第77 項)
 本公開草案では、顧客との契約から生じる収益については、企業の主要な事業における主な履行義務の内容及び企業が当該履行義務を充足する通常の時点(収益を認識する通常の時点)を注記することを提案している。
 なお、会計基準を早期適用する段階では、各国の早期適用の事例及び我が国のIFRS 第15号の準備状況に関する情報が限定的であり、IFRS 第15 号の注記事項の有用性とコストの評価を十分に行うことができないため、必要最低限の定めを除き、基本的に注記事項は定めないこととし、会計基準が適用される時(平成33 年4 月1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首)までに、注記事項の定めを検討することとしている(収益認識会計基準案第133 項)。

●適用時期等(収益認識会計基準案第78 項から第85 項)
 本公開草案では、適用時期等について、次のように取り扱うことを提案している。
(1)本公開草案は、平成33 年4 月1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することを提案している。また、早期適用として、平成30 年4 月1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することができることを提案している。なお、早期適用については、追加的に、平成30 年12 月31 日に終了する連結会計年度及び事業年度から平成31 年3 月30 日に終了する連結会計年度及び事業年度までにおける年度末に係る連結財務諸表及び個別財務諸表から適用することができることも提案している。
 適用時期の検討にあたっては、国際的な比較可能性の確保及び実務上の対応可能性を踏まえ、次の案も検討した。
①平成32 年4 月1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する。
②平成32 年4 月1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用するが、当該連結会計年度及び事業年度の期首に会計基準を適用することが実務上困難な場合には、当該基準を適用していない旨及び理由を注記することを条件に、平成33 年4 月1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することができる。
(2)本公開草案では、IFRS 第15 号及びTopic 606 を参考として、適用初年度の経過措置を定めることを提案している。また、IFRS 又は米国会計基準を連結財務諸表で適用している企業(又はその連結子会社)に対しては、IFRS 第15 号又はTopic606 における経過措置に従うことができることを提案している。

●設例(収益認識適用指針案[設例1]から[設例33])
 本公開草案の設例には、IFRS 第15 号の設例を基礎とした設例([設例2]から[設例27])に加え、収益を認識するための5つのステップについての設例([設例1])及び次の我が国に特有な取引等についての設例([設例28]から[設例33])を設けている。
・消費税等
・小売業における消化仕入等
・設備工事のコストオン取引
・他社ポイントの付与
 ・有償支給取引
 ・工事損失引当金

(企業会計基準委員会 ホームページ
 https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/exposure_draft/y2017/2017-0720.html